仮想通貨の投資に成功した人や会社の経営者なら、節税のために法人口座を開設しようと考えたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、そんな方に向けて、仮想通貨における法人口座のメリット・デメリット、おすすめの仮想通貨取引所や法人口座の注意点をご紹介します。
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目次
仮想通貨の法人口座と個人口座の違い
仮想通貨には、法人口座と個人口座の2種類の口座があります。
仮想通貨の取引をしている方は、個人口座を利用している方が多いはずです。
仮想通貨の個人口座と法人口座は以下のような違いがあります。
- 法人口座
長期取引や大きな利益が得られる方向け - 個人口座
短期取引や数万円~数十万円などの少額の運用向け
例えば、ポイントサイトのキャンペーンやボーナスのみの取引なら少額の運用になるので、個人口座の方が良いでしょう。
しかし、 大きなロットで数1,000万円~数億円の利益を出しているなら、法人口座の方が節税になります。
仮想通貨の法人口座を利用するメリット
仮想通貨の法人口座を検討している方は、どのようなメリットがあるのか知りたいでしょう。
ここでは、仮想通貨の法人口座における3つのメリットを紹介します。
損益通算によって節税になる
仮想通貨の法人口座を利用するメリットは、損益通算ができる点です。
利益から損失を引いた金額に税金をかけます。
法人口座で取引をすれば、フリーランスや会社経営者と同じ事業所得扱いになります。損益通算が利用できるので、他のビジネスの赤字を差し引けるのです。
例えば、証券会社Aで500,000円の利益が出た場合、20.315%の税金がかかるので、約100,000円の税金を支払わなければいけません。
しかし、仮想通貨で-300,000円の損失を出した場合、課税所得は200,000円分(利益-損失)になるので、税金は40,000円と60,000円もお得になるでしょう。
このように課税所得を下げられるので、法人口座で節税対策ができます。
10年間は赤字の繰越ができる
仮想通貨の法人口座を開設すると、赤字の繰り越しが10年間もできます。
例えば、2020年に法人口座で損失を出した場合、2030年頃ままで赤字の持ち越しが可能です。
法人税を利用した節税ができる
3つ目のメリットが、法人税を利用した節税です。仮想通貨の法人口座は、法人税の対象になります。
以下の表は、法人税の税率と区分の1部を紹介しています。
区分 | 開始事業年度が平成28年4月1日以降の場合 |
---|---|
普通法人 | 15%~23.40% |
協同組合 | 15%~20% |
公益法人 | 15%~23.40% |
人格のない社団等 | 15%~23.40% |
特定の医療法人 | 15%~20% |
引用:国税庁のホームページ
所得によりますが、約15~23%前後になりますね。詳しくは国税庁のホームページから確認してみてください。
続いては、個人に課税される所得税をチェックしましょう。
【所得税の税率と控除額の一覧】
課税所得金額 | 税率 | 控除される金額 |
---|---|---|
1,000円~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円~899万9,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円~1,799万9,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円~3,999万9,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円~ | 45% | 479万6,000円 |
個人に課税される所得税を見ると、約6,000,000円以上の所得があれば、法人税よりも負担が重くなるでしょう。
仮想通貨で1,000万円以上の利益が出るときは、法人口座を開設した方が良いです。
仮想通貨の法人口座を利用するデメリット
仮想通貨の法人口座を開設すると、損益通算、赤字の繰り越し、法人税を利用した節税ができます。
しかし、法人口座にも4つのデメリットがあるので、メリットと比較して口座開設をする・しないを検討してください。
法人を設立・維持するための費用がかかる
仮想通貨の法人口座のデメリットは、初期費用がかかる点です。法人を設立するには、最低でも10~20万円の費用が必要でしょう。
法人設立までの費用は、以下の通り。
【法人の設立費用一覧】
税率 | 費用 |
定款の印紙代 | 40,000円(電子定款だとなし) |
認証手数料 | 約50,000円 |
謄本手数料 | 約2,000円 |
登録免許税 | 約150,000円 |
これは、株式会社を設立する場合の費用です。合同会社にすれば、費用を約6万円におさえられます。
これらの費用にプラスして、法人用の印鑑代として7,000~80,000円が必要です。費用の安い合同会社でも、10万円以上の費用がかかります。
会社に維持するための費用(ランニングコスト)もかかるので、資金がショートしないように計画を立ててください。
お金の自由度がない
法人口座の利益は、プライベートで利用できません。1人社長だとしても、会社と個人の資産は分けなければいけないので、会社から給料を受け取る形になります。
仮想通貨の利益を自由に引き出せないのが、デメリットではないでしょうか?
住民税がかかる
法人の扱いになるので、赤字でも確定申告が必要です。しかも、住民税の支払いも必要なので、個人事業主のように課税を避けられません。
例えば、資本金1,000万円以下で、社員が50人程度だと年70,000円の税金がかかります。
法人税の節税ができても、住民税の支払いもあるので注意してください。
法人口座のない仮想通貨取引所もある
すべての仮想通貨取引所で、法人口座が開設できません。日本でも、DMMビットコインなど手数料の安い仮想通貨取引所は、法人口座は開設できないです。
海外口座の法人口座は、英語が必要なのでハードルが高いでしょう。
仮想通貨の法人口座でおすすめの仮想通貨取引所
国内の仮想通貨取引所では、法人口座を開設することができます。個人口座よりも必要な書類が多いですけど、準備できれば1~3日以内の口座開設も可能です。
ここでは、仮想通貨の法人口座でおすすめの2つの仮想通貨取引所を紹介します。
コインチェック(Coincheck)
コインチェックは、2014年に設立された仮想通貨取引所です。現在は、マネックスグループになり、以前よりもセキュリティ対策に力を入れています。
コインチェックの法人口座を開設する方法は、以下のとおり。
【コインチェックで法人口座を開設する方法】
- ステップ1:新規登録ページで「法人として登録」を選ぶ
- ステップ2:電話番号認証(SMS)を行う
- ステップ3:アカウント情報の入力(法人名、代表取締役社長の名前、所在地)
- ステップ4:※必要書類を提出する
- ステップ5:本人確認完了のはがきを受け取る
法人口座の口座開設に必要な書類は、以下の通り
- 1:6ヵ月以内の履歴事項全部証明書の写し(すべて)
- 2:法人名義の口座通帳で、法人名義および口座番号表記のある面の写し
- 3:運用者の本人確認書類(運転免許証など)
- 4:法人取引担当者届出書(運用者と代表取締役社長が違う場合)
代表取締役社長が運用する場合は、1~3の書類だけでOKです。
ビットフライヤー(bitFlyer)
ビットフライヤーは、みずほ銀行や三菱東京UFJのベンチャーキャピタルが株主で、資本金も40億円以上と安定感のある仮想通貨取引所です。
そのため、仮想通貨取引所の中で倒産リスクの低いでしょう。そんなビットフライヤーの法人口座の開設方法は、以下のとおり。
【ビットフライヤーで法人口座を開設する方法】
ステップ1:新規登録ページで「法人のお客様」を選ぶ
ステップ2:法人名などを入力する
ステップ3:アカウント情報の入力(法人名、代表取締役社長の名前、法人の所在地)
ステップ4:実質的支配者のご登録
ステップ5:登記事項証明書等のご提出
(登録履歴事項全部証明書を全て画像変換してアップロード)
ステップ6:確認コード付きのはがきを受け取る
ステップ7:電話番号認証(SNS)
ステップ8:法人口座の入力
ステップ9:IDセルフィー(本人確認書類+顔写真)
ステップ10:住所確認用のはがきを受け取ると、口座開設が終了
コインチェックよりも手間はかかりますが、3日ほどで法人口座の口座開設ができます。
ほかにも、リキッド、ビットポイント、ザイフなどの仮想通貨取引所で、法人口座の口座開設もできますが、実際に口座開設した人の口コミも加味して、コインチェックとビットフライヤーを選びました。
仮想通貨の法人口座を開設する際の注意点
仮想通貨の法人口座を開設したい人は、2つの注意点気を付けてください。
書類の不備に気を付ける
1つ目の注意点が、書類の不備をなくすことです。法人口座になると、履歴事項など個人口座では提出しない書類もあります。
そのため、書類の不備が起こりやすいので、しっかりと確認してください。書類の不備があると、口座開設に時間がかかるので注意しましょう。
法人運営のランニングコストがかる
仮想通貨の法人口座だと、取引で得た利益の節税ができます。しかし、法人を維持するためにランニングコスト(運転資金)がかかるでしょう。
利益よりも費用がかかってしまうと、資金繰りが大変になるので注意してください。
仮想通貨の法人口座まとめ
仮想通貨の法人口座に関するメリット・デメリット・おすすめの仮想通貨取引所・注意点を紹介しました。
法人の運営をしている人は、個人口座から法人口座にシフトすると、損失の繰り越しができるので、節税につながるでしょう。
しかし、新規で法人を設立する場合は、必要な費用を計算してください。利益よりも費用がかかる場合は、個人口座のままで運用をしましょう。
いまよりも利益を増やせるようになったら、法人化も考えてください。
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